NIIは会計上の収益指標
NII(Net Investment Income)は、ここでは発行体の表示に含まれる投資関連費用を差し引いた純投資収益を指します。費用控除前の総投資収益とも、実現・未実現の投資損益を含む営業活動による純資産の変動全体とも異なります。報告NIIを残し、調整値を別に示します。同じ名称が使われても、発行体間で定義、普通株主への帰属、手数料処理が同一とは限りません。
何を分母に含めるかを決める
通常、補足、特別の各分配は株主に価値を移しますが、方針は異なることがあります。通常分配のカバレッジは反復的な基礎支払いを検討し、総カバレッジは選んだすべての構成要素を含みます。通常分配だけを分母にして、全支払いがカバーされたと述べてはいけません。期間について決議された分配と、その期間に支払われた現金も区別します。当期の支払いが前期の決議に対応することがあるためです。
総額同士か、整合する一株当たり同士で比べる
NII ÷ 分配額はカバレッジ、分配額 ÷ NIIは分配性向です。総額同士なら、利益計算の加重平均株式数と分配を受ける株式数を無意識に混ぜる問題を避けやすくなります。一株当たりでも、基準が整合していれば比較できます。PIK(payment-in-kind)利息は、現金で支払う代わりに元本へ加算するなどの形をとる利息です。現金回収前に収益認識される場合があります。手近な株式数で割って根拠のない一株当たりPIKを作らないでください。
不明、ゼロ、負の値を分ける
カバレッジが1を超えても、現金回収、元本維持、配当継続の証明にはなりません。1未満でも、それだけで即時の減配を証明するわけではありません。負のNIIは符号を保ちます。分配額がゼロならカバレッジの割り算は定義できません。補足分配が不明でも通常分配のカバレッジは求められる場合がありますが、総カバレッジは不明です。確認済みのゼロと未確認値は異なります。
仮定に基づく計算例
架空の四半期で、金額の単位はすべて百万USDです。NIIは120、通常分配100、補足分配10、特別分配5、合計115です。通常カバレッジは120 ÷ 100 = 1.2000倍、総カバレッジは120 ÷ 115 ≈ 1.0435倍、総分配性向は115 ÷ 120 ≈ 95.8333%です。補足分配が不明なら合計も不明です。一方、補足分配がゼロと確認できれば合計は105です。120百万USDは1億2,000万USDですが、ここでは表記の単位を変えずに計算します。数値はリンク先企業の実績ではありません。
理解を確認する
NIIを120に保ち、特別分配を5から20へ増やすと、通常・総カバレッジはどうなりますか?
解答と解説を表示
通常カバレッジは1.2000倍のままです。総分配は130となり、総カバレッジは120 ÷ 130 ≈ 0.9231倍です。これは会計上の比較であって、現金の予測ではありません。
資料で確認する点
- NIIの定義と調整表を保存する。
- 期間、USD単位、普通株主への帰属を合わせる。
- 通常・補足・特別分配を別々に記録する。
- 決議と支払い、不明値と確認済みゼロを区別する。
出典と対象範囲
リンク先の一次資料は英語です。制度や会計表示を確認するための資料であり、計算例は実在企業の数値ではありません。この入門記事は、リンクした英語の元記事を要約したものです。